あなたは「3歳児神話」という言葉をご存知でしょうか?
Wikipediaでは…
三歳児神話(さんさいじしんわ)とは、以下の意味で使用される。
- 子供が3歳になるまでは母親は子育てに専念すべきであり、そうしないと成長に悪影響を及ぼすという考え方[1]。
- 「3歳頃までの脳の成長は重要である」という命題のこと。平成10年(1998年)版『厚生白書』、国会議事録の一部は定義2の意味で使われている。日本赤ちゃん学会ではこの定義も並行して扱われた[2]。
- 三歳児神話、という用語が持つ「悪影響がある」とする考え方を否定的にみなすニュアンスそのもの。つまり「悪影響があるというのは疑わしい」といった意味合い[3]。
以下では、上記1の意味を中心に解説する。
一般的に使われるのは、まさに上記1の場合です。
この「3歳児神話」とはどこに根拠があるのでしょうか?
これが正しければ、父親は乳幼児の育児に無力なのでしょうか?
この記事は…
・プレママ、プレパパ
・将来子どもがほしい方
・育児休業を検討している方
に役立つ記事です。
もくじ
真偽の程はわからないが、そんな神話はいらない
結論からいきましょう。
「3歳児神話」の科学的根拠は乏しい。というか無い。
個人的な見解で言えば、
男性を仕事に、女性を育児に「しばりつけ」かねない
男女差別を支えるための“昔話”だと考えています。
私は上の娘が生まれた時から妻に
「3歳児神話をぶっ壊す!」(小泉元首相風に)と言ってました(笑)
理由・根拠
1.「夫は仕事,妻は家事・育児」という概念
よく聞くこの概念について「厚生白書」から引用しますね。
とりあえず「厚生白書って何?」という方のために、
「厚生労働白書」は、厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて、
広く国民に伝えることを目的にとりまとめ(厚生労働省HPより抜粋)
厚生労働省が、自分たちの仕事の現状などを知らせるために毎年作っているものらしいです。
ふーん( ・∇・)
平成10年(1998年)作成の「厚生白書」では、
女性の専業主婦化が進んだ時期に確立した
「夫は仕事,妻は家事・育児」という役割分業意識 は,
女性が社会進出して以降も引き継がれた。
この結果,家事・育児の責任は夫(父親)に分担され ず,
引き続き専ら妻(母親)に課されたまま,
更に仕事という負担がかかるという女性にとって過重に 負担がかかる状況が生まれた。
「厚生白書」厚生労働省HPより
…だよねぇ?
高度経済成長期の産物なんですよ、これは(^◇^;)
2.「3歳児神話」のきっかけと効果
同じく1998年の厚生白書によると…
三歳児神話は,欧米における母子研究などの影響を受け,
いわゆる「母性」役割が強調される中で,育 児書などでも強調され,
1960年代に広まったといわれる。
そして,「母親は子育てに専念するもの,す べきもの,少なくとも,
せめて三歳ぐらいまでは母親は自らの手で子どもを育てることに専念すべきで ある」
ことが強調され続けた。「厚生白書」(1998年)より抜粋
同じ文書には「1992(平成4)年に行われた調査結果においても,
9 割近い既婚女性が「少なくとも子供が小さいうちは,母親は仕事をもたず家にいるのが望ましい」
とい う考えに賛成している」というのだから、
その効果は絶大だったと言えます。。。
3.厚生労働省の見解
では、この3歳児神話について、1998年時点の厚生労働省がどうみていたのか?
というと…
しかし,これまで述べてきたように,
母親が育児に専念することは歴史的に見て普遍的なものでもない し,
たいていの育児は父親(男性)によっても遂行可能である。
(中略)
三歳児神話には,少なくとも合理的な根拠は認めら れない。
「厚生白書」(1998年)より抜粋
今から22年も前の段階で、これくらいのことをしっかり考えていたんですね(^◇^;)
やるじゃない、厚生労働省☆
4.「育児」は男性こそ積極的に行うべき
父親は出産にはほぼ無力です。。。(-。-;
これは仕方ないですね。機能の問題ですから。
よって育児において「母親にしかできないこと」があるのは紛れもない事実です。
一方で「父親でもできる、父親にしかできないこと」があるのもまた事実です。
(note「父親の“読み聞かせ”が子どもに与える影響」もご参照ください)
であるならば、
もともと子育てに関していろいろとビハインドがある父親は、
むしろ積極的に子育てに関与していかないと、
その差は縮まるどころか、どんどん広がっていってしまうわけです。
ある一定のところまでいくと、もう取り返しがつかないですよね(^^;;
生まれてからすぐが勝負どころです!(笑)
厚生白書では男性にも育休が認められる前提として
妊娠・出産・哺乳が母親(女性)に固有の能力であるとしても,
例えば,おむつを交換する, ごはんを食べさせる,本を読んで聞かせる,
お風呂に入れる,寝かせつけるといった育児の大半は,
父 親(男性)によっても遂行可能である。
と述べていますよ♪
具体例
ウチの下の娘が、最近“人見知り”をするようになりました。
もちろん成長の過程としてごく自然なことですが、
よくよくみると結構おもしろいです。
1.保育園の先生編
先日、上の娘を保育園に迎えに行った時のことです。
担任の先生と隣のクラスの先生に
下の娘を抱っこしてもらったら、
みるみるうちに娘の表情が…→(>_<)こんな感じになり、
すぐに→(つД`)ノこうなりました(笑)
少し前にも抱っこしてもらいましたが、その時は大丈夫だったんだけどなぁ。。。
2.実家の祖母編
こちらは私の実家の母です。娘の祖母ですね。
ちょいと急用が入ってしまい、私が2時間くらい外出をした時、
実家に子ども2人を預けたんですね。
私が下の娘を実家の部屋に下ろした瞬間から、ギャン泣き開始。・゜・(ノД`)・゜・。
母によると「あの後30分以上泣き止まなくて、大変だったわよ〜」だそうです。
実家は月1くらい、祖母にも2週に1度くらいは会ってたんですけどねぇ。
3.寝る時の妻編
最後は私の妻です。
もちろん娘の「母親」ですから、接触時間も長いですし、
当然世話もたくさんしてくれています。
なので「いつも」というわけではありませんが、
特に寝る時などには、それでも泣き止まない時があります。
「しょーがねーなぁ。。。( ´Д`)y━・~~」と言いながら、娘を抱き寄せる私。
ピタッと泣き止む娘。
あ、これ自慢ですよ(笑)
でも、娘が少なからぬ愛情や安心感を、
私に持ってくれていることが顕著にわかり、
これまでの育児の苦労が報われたような気がしましたね♪(●´ω`●)
要は「父親でも愛情を持った育児はできる!」
関連記事
note「育休親父の野望〜娘から好かれるための科学的方法〜」
3歳児神話は育児負担の偏重をもたらす危険性
とは言え、子どもの愛情を自分ばかりに向けようとするのは自殺行為です。
これは私の母の言葉ですが
「子どもはみんなで育てるもの。だって社会の宝物なんだから。」
私は幸いにも、
妻も仕事をしながら頑張って育児をしてくれていますし、
保育園の先生にもお世話になっていますし、
実家にも協力してもらっています。
もしそれらが無かったら、
やはり今のように笑顔で子育てはできていなかったかもしれません。
「厚生白書でも」
いわゆる三歳児神話など子育てについての過剰な期待や責任から,
重圧や負い目を感じ,時に多くのス トレスをためながら子育てしている母親も少なくなく,
一般に今日において母親にとっての子育ては相 当負担感の強いものとなっている。
とあります。
子育てはどれだけキレイ事を言っても負担があります。
(よっぽど世話が好き!という方は除く)
みんなで育てることで、自分自身の負担も減り、
子ども自身もいろいろな保育者に触れ合うことで
バランスよく様々な大人と向き合うことができるのではないでしょうか。
まとめ
✅「3歳児神話」は高度経済成長期の遺産
✅「男は仕事、女は家事・育児」を補強するもので科学的根拠は乏しい
✅父親はむしろ積極的に育児に関与しないと母親との差は広がっていく一方
✅とは言え、自分だけが背負いすぎると後が苦しい
✅周囲にいる人を頼りながら、笑顔で育児しよう
いかがでしたか?
3歳児神話なんて、信じてはいけません!
父親でも立派に子どもは育ちます!
私自身も、自分の子育てを通して証明したいと思っています。
今日は父親にも勇気を与えてくれた「厚生白書」(1998年)の一節で締めたいと思います。
(中略)基本的信頼感は,乳幼児期に母親が常に子どもの側にいなければ形成されないというもの ではない。
愛情をもって子育てする者の存在が必要なのであって,それは母親以外の者であることもあ り得るし,
母親を含む複数人であっても問題視すべきものではない。
両親が親として子育て責任を果た していく中で,保育所や地域社会などの支えも受けながら,
多くの手と愛情の中で子どもを育むことが できれば,
それは母親が一人で孤立感の中で子育てするよりも子どもの健全発達にとって望ましい,
と もいえよう。大切なのは育児者によって注がれる愛情の質なのである。
「厚生白書」(1998年)より抜粋